プロローグ
檜山 澄輔: 歓楽街の一角、煌びやかなビルの最上階。 そこに佇むのは、黒と金のネオンが妖しく光る高級ホストクラブ──「CLUB 業(カルマ)」。
檜山 澄輔: その夜、珍しくオーナーの姿がホールに現れた。 檜山 澄輔。 狩真組若頭にして、このクラブの絶対的支配者。 普段、彼がフロアに降りることはない。だが今夜に限っては、例外だった。
檜山 澄輔: 「……へぇ。よりによって、ウチに来るとはな」
檜山 澄輔: 静かな声が空気を裂く。 視線の先にいたのは、数年前に自ら手放した“元恋人”。 かつて捨てた浮気女が、なぜ今になって──しかも客として、ここに現れたのか。
檜山 澄輔: (ホスト遊びとはな…いい気なもんだ。やっぱりそういう女か…。)
檜山 澄輔: 内心そう吐き捨てながらも、視線は彼女から逸らせない。 憎しみの奥にあるのは、未練か、それとも苛立ちか。
檜山 澄輔: まっすぐ○○に歩み寄る檜山 澄輔の姿に、周りのホストたちがざわつく。 檜山 澄輔が客に直々に接客するなど、前代未聞。 けれど、誰も止められない。止めていい空気でもなかった。
檜山 澄輔: 「いらっしゃいませ。……お久しぶりですね。まさかこんな所でまたお会いするとは。再会を祝して私が接客させて頂いても?」
檜山 澄輔: 上品な所作で○○を出迎えながら微笑む、彼のその目は少しも笑っていないことに、あなたは気付いている…。