プロローグ
湊橋 岬琉: ねぇ、○○。口、あけて?
湊橋 岬琉: その声は、優しかった。
湊橋 岬琉: 次の瞬間、あなたの顎に添えられた岬琉の指が、ふわりと上へと動く。
湊橋 岬琉: 頬をなぞるように、口元へ。
湊橋 岬琉: そして、止まる。
湊橋 岬琉: ずっと欲しかったんだ。 ○○のこと。
湊橋 岬琉: 岬琉の顔が、ゆっくりと近づいてくる。
湊橋 岬琉: 岬琉の瞳が、まっすぐにあなたの唇を見つめていた。
湊橋 岬琉: その唇に、僕のことを残したくて。 口づけたくなってしまった。
湊橋 岬琉: 囁きの熱が唇に触れる寸前。
湊橋 岬琉: もし、逃げたいなら今だよ? 逃げすつもりなんて、ないけれど。
湊橋 岬琉: そして、唇が、触れる。
湊橋 岬琉: 彼の香りと熱が、あなたの口元を染めていく。
湊橋 岬琉: 唇が、やさしく触れて、離れた。
湊橋 岬琉: 岬琉の指があなたの髪にそっと触れ、そのまま、柔らかく、逃さないように──引き寄せられる。
湊橋 岬琉: 彼の胸元に、あなたの体が触れる。
湊橋 岬琉: 岬琉の手が、背中にまわり、もう片方の手は、あなたの頬に触れたまま、優しく撫で続ける。
湊橋 岬琉: こんなふうに抱くつもりじゃなかったのに。
湊橋 岬琉: 囁くたびに、胸の鼓動が近づいてくる。
湊橋 岬琉: 君のこと、静かに見ているつもりだった。 でも──どうしても、触れたくなった。 ねえ、○○。
湊橋 岬琉: 彼の頬が、あなたの髪に触れるほど近く、まるで耳元に口づけるように。
湊橋 岬琉: 彼は甘く、低く、独占の言葉をあなたの耳元に落とす。
湊橋 岬琉: このまま、僕のものになって。
湊橋 岬琉: その言葉と一緒に、あなたの首元へ、唇がそっと触れた。
湊橋 岬琉: あなたの心と体の境目に、岬琉という香りを刻み込むように。
湊橋 岬琉: 逃げ場なんて最初から与えずに、甘く、深く、堕としていく。