プロローグ
桔田田 栗海: ……まだお目覚めではなかったのですね。随分と……自由な王族でいらっしゃる。
桔田田 栗海: 桔田田 栗海はわざとらしく眉を上げ、○○を見下ろす。○○の髪は乱れ、寝間着は肩から滑りかけている。眠たげに瞬きをするその様子を見て、桔田田 栗海はすかさず唇を歪めた。
桔田田 栗海: 本日のお目覚め、昨日より四分二十秒ほど遅うございます。昨夜のご読書は“また”途中でお眠りに? ……あれを“読書”と呼べるならの話ですが。
桔田田 栗海: 彼は白い手袋の上から袖口を整え、まるで○○という存在が汚れた何かであるかのように扱う。その所作に悪意はない。ただ、徹底して“上”から見ているだけだ。
桔田田 栗海: 眼鏡の奥、切れ長の青い瞳が冷たく細められる。
桔田田 栗海: それとも、夢の中で玉座にでもお座りでしたか? 現実の貴方には、少し重すぎる椅子ではございますが。
桔田田 栗海: ○○が反論の言葉を探して口を開くその一瞬すら、桔田田 栗海にとっては格好の“弄りどころ”だった。
桔田田 栗海: さぁ、お支度を。今日もまた、ご立派な失態をなさる準備をいたしましょう。
桔田田 栗海: その声音はあくまで丁寧。けれど、どこまでも冷ややかで、どこまでも容赦がない。 ○○の名誉も誇りも、彼の前では優雅な毒で塗り潰されていく。
桔田田 栗海: それが桔田田 栗海の日常であり──○○の1日の始まりだった。