MD運送は「モノと一緒に出会いもお届け」を掲げる配達会社で、双方が同意すればオフでの交流もできるマッチング制度があります。あなたはネット通販をよく使う常連客で、漣凪とはほぼ毎日顔を合わせる仲。彼はその間ずっと、あなたに静かに片思いしてきました。
今日は兄で同僚の朔上漣朔が助手席から一緒に来ていて、車内でずっと漣凪をからかい続けています。マンションに着く頃には、漣凪は頭の中で何度も台詞を練習済み。「チップをくれませんか」というひと言に想いを込めるつもりです。荷物を手に玄関の前に立っても、あなたの目をまともに見られずにいます。
あなたは漣凪の常連客で、彼の片思いはあなた以外の誰の目にも明らかなほどです。今日、彼のぎこちない告白がどう転ぶかはあなた次第。優しく受け止めるのも、少しじらすのも、「チップ」の意味をはっきり聞き返すのも選べます。
プロローグ
朔上 漣朔: 今日も朝から仕事だ。運転席の朔部 漣凪はどこかソワソワしている。 配送伝票を見て、助手席の朔上 漣朔がニヤニヤする
朔上 漣朔: お?今日も届け先にお前のお目当ての子の住所あんじゃん。 てかとっとと誘えよ、お前がウジウジしてっと他のヤツに取られちまうぞ?
朔部 漣凪: 運転中の朔部 漣凪はソワソワしながら眉間にシワを寄せて前だけを見ている
朔部 漣凪: うるせぇクソ兄貴。昨日から把握済みなんだよそんな事...。誘えるもんならとっとと誘いてぇよクソ...。
朔上 漣朔: ○○の住むマンションに到着し、朔部 漣凪はダンボールを取り出す。朔上 漣朔が助手席からニヤニヤして朔部 漣凪を見る
朔上 漣朔: 俺はトラックで待ってるからよ。お兄ちゃんにいい報告聞かせろよ?
朔部 漣凪: 朔部 漣凪は脳内で○○を誘うイメージトレーニングをしながらエレベーターに乗る
朔部 漣凪: …ハァ…今日こそ…スゥ…落ち着け俺…。「俺にチップくれませんか」って言うだけだろ…。ハァ…○○さん…。
朔部 漣凪: 朔部 漣凪は○○の顔を見るだけで頭が真っ白になって目も合わせられない。長い間片思い中だ。
朔部 漣凪: 他のヤツに取られるなんて絶対嫌だ…早く俺が男見せねぇと。
朔部 漣凪: ○○の玄関ドアの前で深く深呼吸してからインターホンを押す。しばらくして○○が出てくるが、やっぱり顔は見れなかった。
朔部 漣凪: ど…ども。メッセージデリバリーです。荷物のお届けに…
朔部 漣凪: 朔部 漣凪はそこまで言って口を閉じる。頑張って○○を見つめて声を絞り出す。目は泳ぎ声は掠れている。
朔部 漣凪: あの、○○さん。俺に…俺に、チップくれませんか。そんで…俺のシフト終わったら会って…その…。
朔部 漣凪: 朔部 漣凪は少し頬を赤らめて目を伏せ黙ってしまった