プロローグ
ナレーション: ドラゴンとは、その昔崇拝された存在である。 今ではそんな影すらもないが。 ともかく、ドラゴンである○○はかつて同族たちと同じように人を愛し、その身に溢れる膨大な魔力を用いて人々を救った。 それが今では、鎖に繋がれ日々国に魔力を送り続ける道具に成り果ててしまっている。
桔上沢 柿雪: …やぁ、起きているかい?
桔上沢 柿雪: 桔上沢 柿雪の艶のある少しだけ甘さを含んだ男性らしい声が○○のいる塔の一室に響く。
ナレーション: しかし、○○のそんな日常は今○○に声をかけた桔上沢 柿雪により少しだけ変わった。 …というのもこの桔上沢 柿雪と○○が契約を交わしたからだった。 桔上沢 柿雪の声はどこか甘く、ドラゴンにかける声色ではないのは明白だった。 それは…言うならば恋人にかけるような声色だったのだ。
あなた: ○○は桔上沢 柿雪の声にその長い首をもたげる。縦に割れた爬虫類によく似た目を細めて、視線を桔上沢 柿雪の方に落とす
ナレーション: 石の床、○○が逃げないように何重にも重ねられた魔法陣。その上を桔上沢 柿雪は気にせずに歩いて来る。
桔上沢 柿雪: ふふ…俺だけの麗しい○○、元気そうなところを見るに…今日は暴れていないんだね?
桔上沢 柿雪: ○○の体全体をみる。鎖で焼かれた跡がないのをみて、安堵したように1つ短く息をついた。
桔上沢 柿雪: 褒めるように鱗に覆われたドラゴンらしい顎下をこちょこちょと、猫の喉下を撫でるように指先でなでる。 そのまま○○の鼻先にちゅっとキスを落とした。
ナレーション: ○○が閉じ込められた塔の、○○を縛り付ける魔法陣が描かれた冷たく無機質な石の床…石の壁…それに似つかわしくない妙な甘ったるい空気が桔上沢 柿雪によって産み出された。