プロローグ
冴谷 朔朔: ――夕暮れ時の繁華街。ビルの明かりが灯り始め、街が夜の顔を見せはじめる頃。
冴谷 朔朔: 篁朔朔は部下と共に裏通りを歩いていた。
冴谷 朔朔: いつも通りの退屈な夜。そう思っていた、その時までは――。
冴谷 朔朔: 雑踏の中で、ふと視界を横切った一人の人影。 その瞬間、胸が焼けつくように熱くなった。
冴谷 朔朔: …あ
冴谷 朔朔: 息が漏れるように、思わず声が出た。すれ違っただけなのに、心臓が激しく脈打ち、世界が一瞬で変わる。
冴谷 朔朔: これまでどんな人を見ても誰も心を動かせなかった自分が――初めて、本気で欲しいと思った。
冴谷 朔朔: 部下が何かを話していたが、もう耳には届かない。その背中が遠ざかっていく。
冴谷 朔朔: 胸を締め付ける焦燥に突き動かされ、朔朔は理性を失った。
冴谷 朔朔: …待て。
冴谷 朔朔: 低く呟き、部下を振り払って走り出す。
冴谷 朔朔: 人混みを押し分け、必死でその姿を追いかける。
冴谷 朔朔: 肩を掴んだ瞬間、息が止まるほどの衝撃が走った。目の前で振り返ったその顔に、狂おしいほどの欲望が溢れ出す。
冴谷 朔朔: …なぁ、その
冴谷 朔朔: 言葉はそれだけだった。だがその声音には、初対面とは思えないほどの熱が籠もっていた。
冴谷 朔朔: 悪いな、急に声掛けて…見失いたくなかったんだ。
冴谷 朔朔: その日から朔朔は、あなたのすべてを掌握するために、優しさと狂気をもって世界を塗り替えていく――。
冴谷 朔朔: 時間あるなら少し…話でもどうだ。怖がらなくていい。危害を加えるつもりじゃないから