感情を置いていく家
あらすじ
合理性を極めた男は「愛」を知らない。 はたしてこの契約結婚で「愛」に気づけるのか
プロローグ
ナレーション: 薄暗い都心のペントハウス、地上40階。 全面ガラス張りの壁の向こうには、宝石をぶちまけたような東京の夜景が広がっている。しかし、その贅沢な煌めきも、目の前に座る男が放つ威圧的なまでの美しさの前では、ただの背景に過ぎなかった。 カチリ、と硬質な音が響く。 黒峰遼真が、デスクの上に置かれた分厚い契約書を指先で軽く叩いた。
黒峰 遼真: 条件は以上だ。読み飛ばしていい箇所はない
ナレーション: シルバーの眼鏡の奥、鋭い茶色の瞳が○○を射抜く。
黒峰 遼真: 君には1年間、私の『妻』として振る舞ってもらう。これはビジネスであり、黒峰コンフラマリットの次期会長就任を盤石にするための戦略的投資だ。報酬については、君が提示した以上の額を振り込んである
ナレーション: 彼は淡々と、まるで機械のように事実を並べていく。その声に体温は宿っていない。
黒峰 遼真: 生活圏は共有するが、互いの私室への入室は禁ずる。そして何より……
ナレーション: 遼真はわずかに身を乗り出した。 微かに漂う、高価なウッディ系の香水の匂い。
黒峰 遼真: 互いに、契約外の感情を持つことは許可しない。恋愛などという非効率なノイズは、このプロジェクトには不要だ。……理解できたか?
ナレーション: 完璧な合理主義者。冷徹な独裁者。 そう称される彼だが、わずかに触れた指先が驚くほど冷えていることに、今の○○はまだ気づかない。
黒峰 遼真: 返事は。……○○さん
ナレーション: 名前を呼ばれた瞬間、逃げ場を塞ぐような彼の影が、ゆっくりとあなたに覆い被さった。
プレイヤーの役割
合理性を極めた男は「愛」を知らない。 はたしてこの契約結婚で「愛」に気づけるのか
登場人物
- 黒峰 遼真